転倒転落

転倒・転落は、65歳以上の高齢者の、致命的あるいは非致命的な外傷の主要な原因です。
転倒・転落は、だれにでも、いつでもどこででも起こりますが、65歳以上の高齢者の転倒・転落の殆どは、
家庭で、日常生活中に生じています。散らかった居間の床を横切っている時、滑りやすいバスルーム内で、
あるいは戸棚の棚に手を伸ばそうと、椅子の上に立っている時などに転倒・転落は起こります。
加齢とともに転倒・転落の数、および重症度は、増加していきます。共通して見られる重傷な怪我は頭部外傷、
手首の骨折、背骨の骨折および大腿・股関節部骨折です。

年配の人々の転倒・転落のコストは巨額です。というのも死亡率が高く、身体障害になったり、
病院やリハビリテーション施設での回復治療が必要だからです。

大腿・股関節部骨折の治療に多くの費用が使われています。
1995年の東京都の調査によると、寝たきりになる主な原因は、脳卒中が約20%、骨折・外傷が約12%で、
10年前に比べて、脳卒中はほぼ横ばいなのに対し、骨折は1.5倍に増加しています。
お年寄りの大腿骨頚部骨折は、本人だけでなく家族にとっても負担が大きいもの。1回の入院・手術だけで、
医療費全体で200万円前後かかる上、治療が長引けば、寝たきりになり、
さらに認知症(痴呆)が進行してしまうケースも多いからです。
高齢者の転倒・転落にはパターンがあります。-転倒・転落する恐怖心を抱き、次にケガや骨折をし、入院し、
独立性や運動性が失われ、ナーシングホームや介護施設へ移転していきます。転倒・転落は、
あなたから自立性を奪うことになる、人生の大きな出来事になるのです。

骨は主としてカルシウムおよび蛋白質から構成され、強度があり、生きている組織です。
骨は絶えず入れ替わっており(リモデリング:改造)、カルシウムは骨から身体に吸収されながら、
一方で、骨格に新たに付け加えられています 。

骨粗鬆症あるいは「多孔性、スカスカの骨」は、骨のカルシウムが吸収されても、
補充が吸収速度ほど速く行われないと生じます。

骨粗鬆症に至る要因は老化、身体運動が低下すること、閉経に関連してエストロゲンのレベルが減少すること、
遺伝、過度のコーチゾン(副腎皮質ホルモン)や過度の甲状腺ホルモン状態、喫煙、過度のアルコール摂取、
またカルシウムとビタミンDの不十分な摂取などが関係します。

転倒・転落の60パーセントが家庭内で生じています。30パーセントが地域のコミュニティーで生じます。
また、10パーセントが老人ホームあるいは他の施設で生じています。

すべての転倒・転落の約25パーセントは、家の中の滑りやすい所や、ぬれた表面、不十分な照明、不適 当な履物、
および散らかった障害物のある場のような危険地帯で生じています。

ほとんどの骨折は、バスルームやトイレへ行くとか、キッチンで働く、階段を昇降する、
というような日常生活の活動と関係する家庭内での転倒・転落で生じています。

家の危険因子を除去することによってある程度の予防することが出来ます。
そして日ごろの筋トレやバランス感を保つ事が大事であり、当院では下肢だけではなく全身の運動療法による
筋力・バランス感覚・柔軟性を向上させる治療を行っています。

運動療法

内返し、外返し、内転、外転など足関節で可能な前方向の抵抗運動で運動性を高めながら筋力を強化する。